2024.06.12
利用者の気持ちを動かす前に、まずは、スタッフの気持ちを動かすこと
《Healthcare Performer Interviews》
社会福祉法人 たんぽぽ福祉会
地域密着型特別養護老人ホーム たんぽぽ鶴の里
〒483-8264 愛知県江南市島宮町城141番地
定員:29床/ショートステイ:10床

▲令和6年5月19日吹上ホール「第8回あいち介護サービス大賞」発表会 発表者 楳村綾香

▲施設長 柳 讓/管理栄養士 楳村 綾香
■第8回 あいち介護サービス大賞に参加
令和6年5月19日吹上ホールにて、県内の介護事業所が取り組む事例を発表する「第8回あいち介護サービス大賞」が開催されました。発表したのは23事業所のエントリーの中から選ばれた8事業所のみ。その中で私が注目をしたのは、今回インタビューを行った楳村氏。誤解を恐れずに言えば、どの発表者よりも控えめで等身大のプレゼンだった。そのような方がどうして、ストレスのかかる発表者として登場したのか。更に、発表の為には、手間も時間も相当掛かることは容易に想像出来る。プレゼンの様子からは、上司から言われてやむを得ず発表をしている様には見えず、準備周到に練習されているのが伺えた。
また、発表後に同じ施設の方々からの労いの言葉や、周りを囲む雰囲気にも温かみを感じ、更に興味が沸いた。そこで、介護事業所人材育成認証評価事業も共催ということもあり、人材育成などの工夫をインタビューした。
■食を通じて、心豊かになってもらう
まず耳を疑ったのが、管理栄養士、言語聴覚士、柔道整復師などパラメディカル3名を在籍させていること。柳施設長は、「多職種が関わることでプランを充実させ、ケアの質を向上させたかった。また、そうすることで利用者、家族の信頼に応えることが出来ると考えた」。確かに、利用者の喜ばれる姿や、家族からの感謝の言葉を聞けば、おのずとスタッフのモチベーションがアップ。そして、更なる活動を自主的に行うように動機付けされる。まして、施設入居者には食事こそが残された唯一無二の楽しみだ。そのことを理解して、期待に応えてくれた一人が楳村氏。施設で提供される食事はクックチルだが、プラス何かを提供することを栄養のプロとして追求した。地域密着の施設の為、地元の食材を使用したいと考え、地元の農家さんからお米を取り寄せるようにした。更に、稲刈りの様子も見学に行かれたそう。その熱意が伝わったのか、高級米なども追加金無しで提供をして頂けるようになったとか。
また、嚥下機能の低下した利用者向けに、工夫をこらした食事を説明しながら、ページをめくる手をとめずに何ページも熱く話して下さった。この好循環のループが生まれれば、多少の費用がかかってもそれを上回る大きなメリットが得られるだろう。
今後の展望は?楳村氏にお尋ねをすると「今までは、 “やってみよう”を合言葉に、スタッフの助けを受けながら、症状が様々な利用者に、同じものを同じ場所で食べれるような食事を出して来た。今後は、『更に食べることに楽しみを創造し、心も体も楽しむ』をモットーに日々、追求して行きたい」と、少し顔を赤らめて話をされた。
■発表会に参加することが目的ではなく、単なる手段
社会福祉法人たんぽぽ福祉会の活動は誰もが知るところ。スタッフのことを常に考えている柳施設長は、施設の安定と無関係ではないはず。このような発表会をチャンスと捉え、挑戦することで、新たな生きがいを見いだすのだろう発表は見る側に委ねられており、考察するヒントがあるわけではない。この発表会は、介護現場はストレスフルな環境であるというのが隠れたテーマだと思う。日々の業務過多になれば、目の前の作業に追われ、業務外の事まで頭が回らず、このような舞台に立つことすら出来ないだろう。やはり、職場環境を整備する為には、人材育成に目を向けることが必要で、その成果がたまたま介護事業所人材育成認証評価事業で評価されているだけのこと。発表も同様で、発表を行う為に新たな企画をしたのでは無く、自分達が日々やって来たことを、このような機会があったので、発表することになったそうだ。目的と手段を間違えがちな企業が多い中、しっかり思考の構築が出来ているのが良く分かった。企業風土は、偶然に任せていて出来るものでは無い。常に注意深く意識をして正しているからこそ、組織の風土が健全に保たれているに違いないと実感した。
■発表後のご褒美は?
最後の疑問は、励ましの言葉をかけながら、スタッフが奮闘した後のご褒美は、何があるのだろうか。聞きたいところだが、この問いは、私たち自身で考えるべきだ。
きっと、そのご褒美の内容次第では5年、10年後に結果が大きく変わることを、理解している数少ない施設だと思う。まさしくこれから迎える黎明期のモデルとなるだろう。
※医療介護業界で「きらりと輝く人」にインタビューを行い紹介して行く、株式会社ヒューマンクリエーションのオリジナル コンテンツです。
カテゴリ:インタビュー記事
社会福祉法人 たんぽぽ福祉会
地域密着型特別養護老人ホーム たんぽぽ鶴の里
〒483-8264 愛知県江南市島宮町城141番地
定員:29床/ショートステイ:10床

▲令和6年5月19日吹上ホール「第8回あいち介護サービス大賞」発表会 発表者 楳村綾香

▲施設長 柳 讓/管理栄養士 楳村 綾香
■第8回 あいち介護サービス大賞に参加
令和6年5月19日吹上ホールにて、県内の介護事業所が取り組む事例を発表する「第8回あいち介護サービス大賞」が開催されました。発表したのは23事業所のエントリーの中から選ばれた8事業所のみ。その中で私が注目をしたのは、今回インタビューを行った楳村氏。誤解を恐れずに言えば、どの発表者よりも控えめで等身大のプレゼンだった。そのような方がどうして、ストレスのかかる発表者として登場したのか。更に、発表の為には、手間も時間も相当掛かることは容易に想像出来る。プレゼンの様子からは、上司から言われてやむを得ず発表をしている様には見えず、準備周到に練習されているのが伺えた。
また、発表後に同じ施設の方々からの労いの言葉や、周りを囲む雰囲気にも温かみを感じ、更に興味が沸いた。そこで、介護事業所人材育成認証評価事業も共催ということもあり、人材育成などの工夫をインタビューした。
■食を通じて、心豊かになってもらう
まず耳を疑ったのが、管理栄養士、言語聴覚士、柔道整復師などパラメディカル3名を在籍させていること。柳施設長は、「多職種が関わることでプランを充実させ、ケアの質を向上させたかった。また、そうすることで利用者、家族の信頼に応えることが出来ると考えた」。確かに、利用者の喜ばれる姿や、家族からの感謝の言葉を聞けば、おのずとスタッフのモチベーションがアップ。そして、更なる活動を自主的に行うように動機付けされる。まして、施設入居者には食事こそが残された唯一無二の楽しみだ。そのことを理解して、期待に応えてくれた一人が楳村氏。施設で提供される食事はクックチルだが、プラス何かを提供することを栄養のプロとして追求した。地域密着の施設の為、地元の食材を使用したいと考え、地元の農家さんからお米を取り寄せるようにした。更に、稲刈りの様子も見学に行かれたそう。その熱意が伝わったのか、高級米なども追加金無しで提供をして頂けるようになったとか。
また、嚥下機能の低下した利用者向けに、工夫をこらした食事を説明しながら、ページをめくる手をとめずに何ページも熱く話して下さった。この好循環のループが生まれれば、多少の費用がかかってもそれを上回る大きなメリットが得られるだろう。
今後の展望は?楳村氏にお尋ねをすると「今までは、 “やってみよう”を合言葉に、スタッフの助けを受けながら、症状が様々な利用者に、同じものを同じ場所で食べれるような食事を出して来た。今後は、『更に食べることに楽しみを創造し、心も体も楽しむ』をモットーに日々、追求して行きたい」と、少し顔を赤らめて話をされた。
■発表会に参加することが目的ではなく、単なる手段
社会福祉法人たんぽぽ福祉会の活動は誰もが知るところ。スタッフのことを常に考えている柳施設長は、施設の安定と無関係ではないはず。このような発表会をチャンスと捉え、挑戦することで、新たな生きがいを見いだすのだろう発表は見る側に委ねられており、考察するヒントがあるわけではない。この発表会は、介護現場はストレスフルな環境であるというのが隠れたテーマだと思う。日々の業務過多になれば、目の前の作業に追われ、業務外の事まで頭が回らず、このような舞台に立つことすら出来ないだろう。やはり、職場環境を整備する為には、人材育成に目を向けることが必要で、その成果がたまたま介護事業所人材育成認証評価事業で評価されているだけのこと。発表も同様で、発表を行う為に新たな企画をしたのでは無く、自分達が日々やって来たことを、このような機会があったので、発表することになったそうだ。目的と手段を間違えがちな企業が多い中、しっかり思考の構築が出来ているのが良く分かった。企業風土は、偶然に任せていて出来るものでは無い。常に注意深く意識をして正しているからこそ、組織の風土が健全に保たれているに違いないと実感した。
■発表後のご褒美は?
最後の疑問は、励ましの言葉をかけながら、スタッフが奮闘した後のご褒美は、何があるのだろうか。聞きたいところだが、この問いは、私たち自身で考えるべきだ。
きっと、そのご褒美の内容次第では5年、10年後に結果が大きく変わることを、理解している数少ない施設だと思う。まさしくこれから迎える黎明期のモデルとなるだろう。
※医療介護業界で「きらりと輝く人」にインタビューを行い紹介して行く、株式会社ヒューマンクリエーションのオリジナル コンテンツです。